注目のレーザー機「メディオスター」はエビデンス不足?

■「メディオスターNeXT PRO」とは?
以前から既にある機械なのですが、2016年1月に大手美容外科が新しく導入したことでかなり注目度が上がったのが「メディオスターNeXT PRO」です。
「メディオスターNeXT PRO」とは?
・Asclepion社製
・ダイオードレーザーの一種
・蓄熱式脱毛型のレーザーともいわれます。
・強力な冷却装置があるため肌が痛みを感じにくい(他の8倍程度の冷却効果)
・810nmと940nmの2種類の波長で照射可能なため、産毛からVIOの太い毛まで、幅広い毛質の脱毛に適している
・発毛因子があるとされるバルジ領域を狙って照射
(今までの他のレーザーは毛乳頭を狙って照射しています)
・バルジ領域への照射のため毛周期に関係なく脱毛を行える
・6000本程度の光ファイバーが先端についており、レーザーを漏らさず効率的に照射
・出力パワーは800ワット
(最新のレーザー脱毛機「GmaxPRO」は16キロワット以上と20倍以上)
痛みが少なくて毛周期に関係なくスピーディに照射できる点が一番の売りでしょうね。
ただ少し気になる点としては、メディオスターが「毛乳頭」ではなくて発毛のエネルギー源になると言われる「毛包幹細胞(バルジ)」領域をめがけて照射をしている点です。
アレキサンドライト、ダイオードレーザー問わず、今までのレーザー脱毛機はほぼ全部が毛周期をターゲットにして脱毛を行っていました。そもそも毛乳頭という部位へのレーザー照射が許されているのは医療機関のみで、エステサロンではこの部位をめがけてレーザーを打つことは法律で許されていません。(エステ脱毛では弱いレーザー光を使っているので、レーザー脱毛ではなくて光脱毛と言っていますが…)
10年ほど前には、エステサロンが毛乳頭めがけてレーザー照射をしていたとしてサロン経営者が逮捕される事件まで起きています。(裁判の結果、毛乳頭への照射は医療機関のみ、という点が改めて周知徹底されました)
つまり美容クリニックでも導入されているメディオスターは、毛乳頭へレーザー照射を行っていないので法律上ではエステサロンでも利用できる機械なのです。
ただし、この数年でさらに脱毛・育毛治療も進化しており、メディオスターがターゲットとしている「バルジ領域」という部分が本当に発毛へ影響を与えている細胞なのであれば、これは法律を見直す必要も出てくるでしょう。
ただしこのバルジ領域については、ここ数年で出てきた研究理論のため永久脱毛に成功したという論文はないのが事実です。ですので今、メディオスターで脱毛をしても、もしかすると数年後にまた毛が生えてくる可能性があるかもしれない点は否めません。
医療機関の場合、こういったエビデンス(医学的根拠)を重視する風潮があるため、個人的には機械の目新しさや話題性だけではなく、「実際に永久脱毛ができる」という論文がきちんと出た後に導入するべきではないかという気もしております。
痛みが少なくてスピーディに脱毛ができるほうがもちろん消費者も嬉しいとは思いますが、結局エステサロンと同じように単なる「減毛」(=永久脱毛ではなくて毛が減っただけ)という結果になる可能性を秘めているようにも感じます。
新しい機械に対して否定的、懐疑的というわけではなく、メディオスターにも永久脱毛に関するエビデンス(医学的根拠がしっかり出たところで、改めて効果について比較をするのがベストなのではないかと考えています。
■バルジ領域を狙った脱毛機について
1)医療機関向け
○ソプラノアイス(Alma laser社製)
・中国、韓国では比較的多く導入されています。
※以前別のメーカーからも同様の機器が発売されていましたが、あまりに痛いということで発売中止になりました。
2)エステサロン向け
エステサロン業界でも、バルジ領域を狙った新しいレーザー機が登場しています。
照射レベルが弱い(光脱毛)ため、医療機関向けとは異なる機械という事になっています。
○ハイパースキン法(ハイパースキンカレン)
福岡を中心に店舗展開しているエステサロンカレンのオリジナルレーザー機です。
子供でも脱毛できる機械として謳っていますね…。
○パワーライト(スカンジナビア)
1998年からあるフラッシュ脱毛機です。
この機械もバルジ発毛理論にもとづきバルジ領域を狙って照射し、除毛・減耗を実現させています。(※販売元のサイトを見ると「脱毛」とは書いておりません)
○光バルジ式脱毛
○世界最速脱毛法
○その他、家庭用脱毛機としても「NEED」という製品がバルジ領域をターゲットにしています。
現状の法律ではバルジ領域への照射は制限されていないこともあり、医療業界以上にエステサロンでもバルジ領域への脱毛は盛り上がっているような気がします。
■まずはとにかくエビデンス!
2001年の論文では、バルジ領域を破壊するには300~400msec程度の長いパルス幅が必要とされていますが、医療機器のメディオスターでもパルス幅は10~400msecとかなり幅広く設定されています。
少しだけ前述しましたが、過去に別のメーカーが400msec幅のレーザー機を開発したところ、これは数年で製造中止となりました。
・・・論文上、永久脱毛できる程度のパルス幅にすると、痛くて打てなかったためです。
まとめると、バルジ領域への照射は確かに永久脱毛に繋がりそうではありますが、その痛みを軽減できるだけの技術があるかどうか、また実際に医療機関で永久脱毛できるレベルのパルス幅で照射をしているのか、という点が今後注目される気がします。
※こんな比較表もありました。(画像はネットからお借りしました)
メディオスターは導入されてまだ間もないため、
「1年経っても毛が生えてこない」
「3年経っても無毛のまま」
のような、「長期的な実績」がほとんどありません。
エステ的な感覚で行うなら良いかもしれませんが、本格的に永久脱毛を行いたいと思われる際には、確実な実績のあるアレキサンドライトなどの昔から使用されているレーザーを使用することをオススメします。
なお以下は、新宿エリアでオススメの脱毛クリニックをそれぞれまとめています。
■ドクター松井クリニック(ルミナス社「ライトシェア・デュエット」)
■新宿クレアクリニック(ルミナス社「ライトシェア・デュエット」)
■新宿アイエスクリニック(キャンデラ社「ジェントルマックスプロ」)
(2016年8月補足)
メディオスターを導入している大手クリニックとしては湘南美容外科があります。
湘南美容外科の場合、メディオスターとあわせて実績豊富で業界最大手のアメリカ・キャンデラ社のアレキサンドライトレーザーも導入しているため、肌質などによっていずれかを選択できる点はメリットでしょう。
(2016年10月さらに補足)
新宿などの一部の院でメディオスターを導入していた湘南美容外科ですが、女性向け脱毛ではメディオスターの利用をストップしているようです。現在は男性のヒゲ等の脱毛のみで使用しています。
※なお湘南美容外科で導入しているアレキサンドライトレーザーは「ジェントルレーズ」という少し古い機種です。キャンデラ社が出している最新のアレキレーザーは「ジェントルマックスプロ」と言い、新宿ですとアイエスクリニックなどで導入されています。
2つの機種の違いは以下です。一言でまとめると、新しい機種のほうがスピーディで、どんな肌でもどんな人でも照射可能です。
1)スピーディに脱毛治療ができる
ジェントルマックスのほうが照射口が大きいので、一度にできる照射範囲が広く、治療時間が短くて済みます。
2)日焼け肌・色黒でもOK。また乳首や肛門もOK。
日焼けしていて脱毛を断られたことのある方もいるのではないでしょうか?
ジェントルマックスはYAGレーザーも搭載しているので、日焼け肌や色黒のヒト、また乳首や肛門などメラニンが多い部位でも脱毛ができます。またYAGレーザーは肌の深いところまで届くので、ヒゲやVIOなど濃くて頑固な部位に効果的です。
レーザーの製造メーカーも、様々な改善を加えた上でバージョンアップ版をリリースしているはずなので、脱毛治療の価値段がそれほど変わらないのであれば個人的には新しい機種での治療をお勧めします。
※前述の新宿アイエスクリニックの場合、最新機種のジェントルマックスプロ(本体価格は1000万以上のようです)を導入していますが、個人院だからか脱毛治療の値段はかなり安くて、ほぼ湘南美容外科と一緒です。(乗り換えの場合:3回139,000円)
※とはいえ、湘南美容外科は新宿だけではなく色々なところにクリニックがあります。場所的に新宿には通えない場合はこちらをお勧めします。(新宿の他、池袋、渋谷、銀座、表参道、上野、品川、立川、横浜、千葉、大宮、川崎、大阪、神戸、京都など)
<新宿エリアでオススメの脱毛クリニック>
(エリアが豊富なので、湘南美容外科も追加しました)
■ドクター松井クリニック(ルミナス社「ライトシェア・デュエット」)
■新宿クレアクリニック(ルミナス社「ライトシェア・デュエット」)
■新宿アイエスクリニック(キャンデラ社「ジェントルマックスプロ」
■湘南美容外科(キャンデラ社「ジェントルレーズ」、Asclepion社「メディオスター」)